Q,.初めてフィリピンにくることになったきっかけは何だったんですか?
岡:1957年(昭32年)当時田舎の鉄工場を手伝っていた時、マニラで戦後の賠償として、引き上げた機械の使い方と技術を教える目的で、国から依頼され派遣されてきたんです。選ばれたその唯一の条件が、日本の軍隊に所属していなかったこと。実は僕は終戦日の2日後に入隊予定だったんです。だから僕より年上の方はもうみんな軍隊経験者だったので、その中では一番年上だったんですね。2回目にマニラに訪れたときにアメリカ人とミシン工場を作りました。それから19年間、日本の家業の仕事とマニラの工場を行き来するようになりました。
Q,.定住するようになったのはなぜですか?
岡:名古屋市場に上場するくらい家業がうまくいってたんですがね、調子にのって失敗しちゃってね、笑。ちょうどその頃妻も亡くして一人になったんです。そしたらまたマニラに来てくれと声をかけられて、お手伝いのつもりできたら、それ以来帰らなくなっちゃってね、笑。政府の仕事や海外コンサル、木材の検品など色々な仕事をしましたよ。でも今の家具の輸出業がずーっとベースですね。
Q,.様々な経緯を経て,フィリピン中を回られた岡さんが、ここ20年くらいセブに住まれていますが、セブの魅力ってなんですか?
岡:やっぱりね、セブの人間は温和な人が多いですよ。マゼランの頃からビサイヤ地域の人は温和な人が多いとありますからね、そして不思議に浮気者も多い。
Q,.長く海外で暮らす秘訣は何ですか?
岡:あれもこれもと器用貧乏の人は結局何もできないね。ひとつのことをずっと続けることが大切。でも10年に一度くらいドカーンといい収入が入ってくる運もないと海外で長くやるのは難しいね。あとは金と女のトラブルを持たないこと。失敗する人の原因はそれですよ、笑。
2007年8月号 掲載